2021年8月10日、全国高校野球選手権大会乃開幕試合で、昨年高3生だった2人が、始球式を務めた。
始球式でバッテリーを組んだのは、関西医科大学医学部1年の吉田裕翔さん(19)と大阪大学医学部1年の嘉村太志さん(19)。2人は共に甲子園球場がある兵庫県西宮市乃甲陽学院で野球部員だった。
主将だった吉田さんは、小学3年で野球を始めた。子供の頃から夏の選手権大会は、甲子園に続く晴れの舞台で、高校生になると憧れた。しかしその時は来ず、大会がなくなった時は呆然とした。
チームメイトで遊撃手だった嘉村さんは、新型コロナの影響で練習が出来なくなり、将来の進路について考える時間が増えた。技術者か医者のるどちらを目指すかで迷っていたが、コロナに立ち向かう最前線の医療現場を報道で知り、「医者に対する価値観が変わった」と言う。「人に必要とされ、人を助けられる職業に就きたい」
兵庫県の独自大会が終わると、1日に約10時間勉強し、現役で医学部に合格した。
吉田さんは「小学生の頃からずっと甲子園を目指してきた人は、自分よりもっとしんどい思いをしたはず、彼らに納得して貰えるような投球をしたい」と話した。
嘉村さんは「昨年甲子園に出られなかった世代の人の思いとコロナ禍で医療現場に立つ人への感謝の気持ちを込めて臨みたい」と意気込んだ。
2人とも緊張していて、ワンバウンドとなったが、清々しい始球式を見せてくれた。
懸命なる努力をしてなりたくてもなれない医者になれるチャンスを掴んだ今、勉強に励まれ、必要とされる医師になってください。心より、祈り、応援しています。