今朝の新聞で目にした折々のことばに、電撃が走ったので、ご紹介する。
最相葉月さんは、デビュー30周年を迎えるノンフィクション作家だ。
『過去は過去、今は今。今日から始まる思い出だってある』
普通の文章では、「過去よりも未来よりも、大切なのは今この時」とある。
それが、「今日から始まる思い出だってある」ときた。
その理由は、この文章が、ご自身のお母さまの介護に、若年性認知症を患いだしてほぼ30年の長期間を意味する。その間、遠隔地から通い、その後近所の高齢者施設に助けてもらってきたからだ。
最後の結びに、こうある。
元気だった頃の母はもう思い出せず、「納得のいく人生」は「やりたいことを自由にできる」人生とは別なのかと独り言つ。でも心に残ることはこれから作れる。これは母が私に与えた「最後の教育」だと。
結局のところ、30年間は、相当に大変だったのだろう。これからは、やりたいことを自由にできる時間を手に入れ、本当の自分の人生を生きていけるということを言いたかったのだ。イコールお母さまが娘に長く迷惑を掛けてごめんなさい、これからはあなたの人生ですよ、と最後の教育を意味しているのだろう。
改めて、千差万別の人生であるが、こんな人生もあることを知ることができて、よかった。
こちらに書かれているのは『母の最終講義』だが、最相葉月さんの本を読んでみたいと思った。
皆様は、いかがでしょうか。