題目を考えながら、「凄い」と口にした。
彼の名前は、渋谷幸靖さん。
中学のころから、たばこや無免許運転など非行に走り、詐欺事件で実刑判決を受けたのは24歳。接見したお母さんの前で涙があふれたそうだ。「僕は10代から何も変わっていない。もうお母さんを苦しめたくない」
今から5年前の34歳の時に、非行少年の立ち直りを支えるNPOのスタッフになった。そして少年らと面会し、少年院を出た後の生活や就職の世話をした。そのうちに、非行を繰り返す子に発達障害や知的障害があることを知った。そこで「制度のはざまで路頭に迷う子らを丸ごと支える仕組みがいる」と地元の名古屋でNPO「陽和」を立ち上げた。この陽和のスローガンは、「どの子も大切に」。対象は、非行、不登校、引きこもり、虐待で、困難を抱えるすべての子どもだ。
最後に書かれていた言葉が心に響いたので、ご紹介する。
「24時間365日、相談にのります」行政や学校とも連携し、信念は「過去を価値に変える」。裏切られても何年かかっても「もう大丈夫」と言えるまで手を離さない。
これはご自身の経験と心配を掛けたお母さんへの申し訳ないと思う気持ちがあってこそだ。
この「陽和」は、渋谷幸靖さんにしか立ち上げることは出来ない。渋谷さんの経験は、決して無駄ではなかったと断言する。きっと神様は、この法人立ち上げの為に、渋谷さんを現世に派遣された。
「もう大丈夫」と言える社会になって欲しいが、一番の願いだ。