本当に自分にとっての一大事は、じっくり向き合うこと、そこから逃げてはいけない。
と今は亡き蜷川幸雄先生は、娘さんにアドバイスされ、こう言われた。
「目の前の楽しさで気を紛らわせるよりも、こういうときにしか聞こえてこないメロディーとか辿り着かないこととかがあるのだから」
娘さんは、この言葉で目が覚めたという。
大学受験に失敗して落ち込んでいる時、気晴らしに友達と遊びに行こうとしたようだ。
普通なら、そう言われても出掛けただろう。
が、流石にあの演劇家の父の子供である。
彼女は、立ち止まって考えた。
それがこの言葉で分かる。
その場だけ楽しんでやり過ごすのは絆創膏のようなもの。
そして、以後、凹んだ時は「これがあったからここに辿り着いたんだ」と思えるまで自分を掘るようになったと言う。
改めて、親から子への心に響くアドバイスの重要性を思った。