思いの丈☆宅配便

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五木ひろしさんの かあさんのせなか

「かあさんのせなか」のタイトル通りの内容にぐっときた。

 五木ひろしさんのお母様は、大正生まれ。

とにかくよく働かれ、五木さんよりも遅く寝て早く起きる毎日で、起きたらもう出かけられていたそうだ。

 五木さんが歌手になったのは、おふくろを楽にさせたい、一日ゆっくり寝かせてあげたい思いだけだったそうだ。

 お母様との思い出の一つ一つが胸を打つ。

 ある年の大晦日に、五木さんはアパート代が払えなくて、夜逃げ同然で東京から福井へ帰ったことがあり、その時、お母様は親戚中に頭を下げてお金を集めてくれたそうだ。50年以上前のお金で10万円。

そのお金を腹巻きにくるみ、腹にまいて東京へ行けと言われた。「このお金をなくしたら命はないから」と。その時の言葉と必死な思いを忘れないそうだ。

 五木さんは、71年に五木ひろしとしてヒット曲を出したあと、お母様と一緒に暮らすようになる。でも、何よりもおふくろのために家を建てたかった。そして30歳で実現し、数年後には福井の実家も新築した。それが、ぼくの恩返し、親孝行ですと書いた。

 死に目には舞台稽古の為に会えず、朝、亡くなったと聞いてすぐに実家に向かい、とんぼ返りをして、悲しみのどん底で迎えた初日に必死で舞台を務め、楽屋へ戻って号泣したそうだ。

 亡くなってから18年。いつもお母様の存在は五木さんのなかにあって、いまもずーっとつながっているんですよ、とのこと。

 今年の5月30日、福井で東京五輪聖火ランナーをされた翌日がお母様のご命日。「走ったあとで墓参りにおいで。待っているから」ということなのでしょう。おふくろが呼んだのですね。

 

 お母様の存在があったから、今の五木ひろしさんがあることがよく分かった。

 何の為に働くのかの意味も分からず、模索をすれども答えが見つからずの現代の若者に、そして、命を絶ってしまう人に聞かせてあげたい話であった。