思いの丈☆宅配便

書いて読んで繋がりませんか!

医師としてあの病棟に戻る

がんとともに、を読んだ。

 

小児がんの経験を生かし、治療を受ける子どもと家族を支えたら一。

そんな気持ちで医師をめざした女性が、かつて患者として治療を受けた長崎大学病院の小児病棟で働いている」

   吸い込まれるように読んだ。

佐々口さんは、中学二年生だった13年前の冬、この病棟に入院。悪性リンパ腫の治療を受けた。高校受験を一年後に控え、将来への不安が膨らんだが、毎日病室に来て世話をしてくれる母親には、うまく伝えられなかったそうだ。

そんな時、同室の女の子の母親が、自分の母親に話している言葉に気持ちが軽くなった。

「娘が今をしっかり生きてくれればそれでいい。誰だって未来は分からないのだから、何十年も先を不安に思って泣くのをやめたの」

 

佐々口さんが、この母親の話を聞けたことが、今の彼女にしっかりと繋がったことを知った。

直接的な言葉よりも、客観的な言葉は、響く。

いわゆる経験談は、間接語りや文字で読めることが残る。

特に間接語りは、頭に残り易い。

それは彼女が証明してくれた。

 

人の一生は、僅かである。

だからこそ、こんな杞憂な経験を、どうぞ神様出来る限り沢山与えてください、と思う。

 

彼女は、約4カ月で退院し、体力が回復し、高校では登山部に入った。

3年生で進路を決める際に、あのお母さんの言葉と共に、当時の主治医に「君は貴重な経験をしているんだよ」と言われた記憶もよみがえったそうだ。

 

昨春、研修医を終えた佐々口さんは、長崎大病院で小児科医としての一歩を踏み出した。

かつての主治医と一緒に働けることが嬉しかったそうだ。

これは、神様からのにくいプレゼントだと思った。

それまで一生懸命に生きて、勉強したことへの頑張ったねのご褒美かな。

しかし、ここからが正念場だ。

彼女は、春からは県内の総合病院の小児科に移り、スキルを磨く。小児がんに関わっていけたらと考えているようだ。

「経験はみな違い、悩みも違うけれど、私のような人間もいることで、少しは不安な気持ちが変わるかもしれない。私が成長しないと」

 

この爽やかな感動を皆さまに、お伝えしたかったので、ご紹介した。