このコラムを読んでいて、春休みの思い出が過った。
北翔海莉は、皆様ご存知の、元宝塚のトップスター。
彼女のお父さんは、海上自衛隊のパイロットだった。お兄さんも、自衛官。だから、彼女自身も、迷わずに続くつもりだったそう。
ところが、背が高かったことで中学校の先生の勧めで、40倍の宝塚音楽学校を受験したことから、進む道は変わった。
彼女のお父さんは、娘に掛ける言葉が違う。
宝塚音楽学校の合格発表には行かずに、高校の入学式に出た娘の代わりに、出張のついでに見に行ったのは、お父さんだった。
落ちて泣き崩れる親子を見て「入りたくても入れない人がいる。やり遂げる責任がある」と不安だった15歳の彼女を送り出してくれたそう。
トップになる前に辞めようと思った時は「自分がやり残したことはないか」「支えてくれる人に納得するものを与えられたか」と問われたそう。
そして、軍人役の時は「敬礼がなっとらん」と所作や言葉遣いにはうるさかったそう。
退団公演での軍人役では(役の上で)「僕の階級を超えた」と笑い、「穴を開けず舞台に立てたことに感謝しなさい」とねぎらって下さったそう。
それでは、本日の最初の一文に戻る。
春休みに、息子の入学祝いに、息子からのリクエストで出掛けた所は、鹿屋の海軍基地だった。
中を案内して下さった方が、出口の所で話されたことが今も頭に残っている。
「宝塚の北翔海莉さんのお父さんは海軍の方で、ご自分が退官される時に、ご挨拶に来られました」
北翔海莉が「私が男役で軍服を着て髪をリーゼントにしたら、父にそっくりなんです」と言うように、きっと凛々しい方なのだろう。
たとえ、娘が自衛官にならなくても、違う世界で、自分の生きる世界を観客として見れたことは、とびきりの親孝行だったに違いない。
久しぶりに、心熱くなる父娘の話を知ることが出来た。
改めて、こんな素敵な話を公開してくれた北翔海莉さんに、お礼申し上げたい。
感謝。