題字は、華道家元池坊の次期家元、池坊由紀改め専好さんの言葉だ。
彼女も、もう51歳。
結婚前の24歳時に書かれた本の、初々しかった頃を知っているので、それからの27年間がどんなものであったのかが、この言葉で分かる。
いずれは、家元を70年以上務めているお父様の専永さんからバトンを渡される。
現在は、「花も人もそれぞれ。父の道を大切にし、自分らしさを出せれば、と思います」と世界に敏感でありたいと朝夜に英BBCや米CNNニュースを見ているそうだ。
「紛争や移民問題、環境破壊など凄まじい体験であふれている。家元継承を重いなんて言ってられないです」としっかり現実を直視。
池坊史上初の女性家元になるが「華道では性別は意味がない」とハッキリ。
そんな彼女だが、「好きな花は?」と尋ねられるとこう答えた。
「スズランやユリといった、奥ゆかしくうつむいているような花が好きです」と。
24歳時と本質は変わっていなかったことに、ほっとした。
インタビューの最後に、「自分らしい華道哲学とは?」に対しての答えが、いつまでも頭に残った。
「今を生きる、です。思い通りにならず、悩み事がのしかかり、もがいたこともあります。でも、過去の後悔、未来の不安ではなく、今に集中して、今に生き、後は天に任せるのです。…命は一瞬一瞬、花も刹那刹那。人と花は、瞬間を生きています」
同じように、今を全力で生きていきたい。